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生活騒音の基礎

生活騒音は法律で規定されていないため、明確な定義がありません。

以下のように説明していることもあります。

一般家庭の日常生活から発生する騒音ことであり,近隣騒音ともいいます。近年,都市の過密化やクーラー,ピアノ等の生活関連機器の普及に伴い問題となっています。

一般財団法人 九州環境管理協会

他にも

室内の日常生活において発生する音。足音、話し声、ドアの開閉音、洗濯機や掃除機などの使用音、テレビやステレオなどの音など。近隣住民が不快と感じる大きさの場合は、生活騒音ともいう。

kotobank.jp デジタル大辞泉

とあります。非常に曖昧ですが、他の住人がうるさいと感じる生活音が生活騒音になるというところでしょうか。

生活騒音は法律による規制の対象ではありません

生活音は日常生活に伴い必然的に生じるため、これを法律や条例で規制をしてしまうと日常生活に制約を課すことになります。また、「うるさいと感じる」感覚は個人差が大きいこともあり、時には被害者にもなり加害者にもなる可能性があります。これらが法律での規制が難しい理由でしょう。

その音が騒音かどうかの判断は、周辺の環境や主観的な感覚が基準となるため、必要とする人には気にならない音でも、必要としない人には騒音と認識されます。音に対する好き嫌いは、その時の状況、音量、種類、必要性や価値観の違い等、要因が多岐にわたるため一律に決めることができません。

個人差があるという話では、都会から田舎に住居を変更した人が、「静かすぎると不安になるから、少しくらいうるさい方が落ち着く。」といった意見もあります。その逆も当然あるでしょう。騒音に耐性があるかどうかは、人それぞれですが、大家族の中や子供の多い団地などの集合住宅で育った人ほど、生活騒音をあまり気にしないのかもしれません。

生活騒音は規制されませんが、事業活動や生産活動に伴い広範囲に影響をおよぼす、いわゆる公害的な騒音については、法律や条例で規制されています。

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生活騒音でも限度はあります

生活騒音については法律による具体的な規制はありませんが、何をしても許されるわけではありません。しかし、受忍限度(論)という考えがあり、普通の日常生活を営む上で生じる生活音については、お互いに常識の範囲内であれば我慢するべきであるという考えがあります。

しかし、生活音であっても常識を逸脱するような騒音である場合は、受忍限度を超えるとみなされます。そのため、裁判など法的手続により、騒音の差し止めや損害賠償といった法的責任が生じる可能性があります(民法第709条)。

生活騒音の具体例

家庭用機器からの騒音
冷蔵庫、洗濯機、乾燥機、掃除機などの音
深夜に使用する場合、音が小さくても問題になることがある。
家庭用設備、住宅構造面からの騒音
空調機、湯沸器、風呂釜、バス・トイレの給排水、ドアの開閉音など
運転開始時の異音、トイレの排水音は以外と大きい。音が小さい場合でも、住宅の壁などを通じて音が伝わることがある。
音響機器からの音
ピアノ、ステレオ、テレビ、ラジオなどの音
同じ機器であっても、設置位置、住宅構造により外に漏れる音の大きさは異なる。
生活行動にともなう音
話し声・泣き声・笑い声、跳びはねる音など
人の行動によって発生し、加害感が少ないことで問題の解決が長びくことが多い。
その他
自動車・オートバイの空ぶかしの音、犬・猫などペットの鳴き声、風鈴の音など