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生活騒音の目安

一般的に何を以って騒音とするか、環境基本法の中に環境基準という一応の目安があります。

環境省 に環境基準の説明があります。

環境基準とは

人の健康の保護及び生活環境の保全のうえで維持されることが望ましい基準として、終局的に、大気、水、土壌、騒音をどの程度に保つことを目標に施策を実施していくのかという目標を定めたものが環境基準である。

環境基本法 第三節 環境基準 - 第十六条

政府は、大気の汚染、水質の汚濁、土壌の汚染及び騒音に係る環境上の条件について、それぞれ、人の健康を保護し、及び生活環境を保全する上で維持されることが望ましい基準を定めるものとする。

となっていますが、環境基準自体は、「維持されることが望ましい基準」であり、行政上の政策目標でしかなく、具体的な内容はこれを基に各自治体が条例等で設定しています。

この文章だけでは、曖昧なので具体的な数値を見てみましょう。

地域の区分昼間
午前6時から午後10時
夜間
午後10時から翌午前6時
療養施設、社会福祉施設等が集合して設置される地域など特に静穏を要する地域50デシベル以下40デシベル以下
専ら住居の用に供される地域、または、主として住居の用に供される地域55デシベル以下45デシベル以下 
相当数の住居と併せて商業、工業等の用に供される地域60デシベル以下50デシベル以下 

環境基本法(平成5年法律第91号)第16条第1項の規定に基づく騒音に係る環境基準- 環境省

かなり大雑把ですね。これを基に具体的な地域を都道府県知事(市の区域内の地域については、市長)が指定します。他にも大きめの道路に面する地域は以下のようになっています。

地域の区分昼間
午前6時から午後10時
夜間
午後10時から翌午前6時
専ら住居の用に供される地域のうち2車線以上の車線を有する道路に面する地域60デシベル以下55デシベル以下
主として住居の用に供される地域のうち2車線以上の車線を有する道路に面する地域、及び、相当数の住居と併せて商業、工業等の用に供される地域のうち車線を有する道路に面する地域65デシベル以下60デシベル以下

環境基本法 第16条第1項 - 環境省

環境基準として生活騒音に関係しそうな基準値は、住居地域の値となります(専ら住居〜、主として住居〜)。 つまり、昼間(午前6時から午後10時)は55デシベル以下夜間(午後10時から翌午前6時)は45デシベル以下、が環境基本法での基準値となります。

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各自治体は、これを基に条例を制定しています。例えば、東京都の規制基準は以下のようになります。

地域午前6時から午前8時午前8時から午後7時午後7時から午後11時午後11時から翌午前6時
第1種および第2種低層住居専用地域、他40デシベル以下45デシベル以下40デシベル以下40デシベル以下
第1種および第2種中高層住居専用地域、第1種および第2種住居地域、他45デシベル以下50デシベル以下45デシベル以下 

第1種および第2種低層住居専用地域等の名称は、用途地域と呼ぼれており、住居、商業、工業など市街地の大枠としての土地利用を定めるもので、12種類あります。用途地域が指定されると、それぞれの目的に応じて、建てられる建物の種類が決められます。

主に生活騒音が問題となる住宅地は、第一種および第二種低層住居専用地域、第一種および第二種中高層住居専用地域、第一種および第二種住居地域、準住居地域となります。前者ほど騒音が厳しく規制されます。

以下に、用途地域の簡単な説明を示します。

第一種低層住居専用地域第二種低層住居専用地域第一種中高層住居専用地域
低層住宅のための地域です。小規模なお店や事務所をかねた住宅や、小中学校などが建てられます。(category 1 low-rise exclusive residential districts)主に低層住宅のための地域です。小中学校などのほか、150m2までの一定のお店などが建てられます。(category 2 low-rise exclusive residential districts)中高層住宅のための地域です。病院、大学、500m2までの一定のお店などが建てられます。(category 1 medium-to-high-rise exclusive residential districts)
第二種中高層住居専用地域第一種住居地域第二種住居地域
主に中高層住宅のための地域です。病院、大学などのほか、1,500m2までの一定のお店や事務所など必要な利便施設が建てられます。(category 2 medium-to-high-rise exclusive residential districts)住居の環境を守るための地域です。3,000m2までの店舗、事務所、ホテルなどは建てられます。(category 1 residential districts)主に住居の環境を守るための地域です。店舗、事務所、ホテル、カラオケボックスなどは建てられます。(category 2 residential districts)
準住居地域  
  
主に住居の環境を守るための地域です。店舗、事務所、ホテル、カラオケボックスなどは建てられます。(quasi-residential districts)  

他に、近隣商業地域 (neighborhood commercial districts)、商業地域 (commercial districts)、準工業地域 (quasi-industrial districts)、工業地域 (industrial districts)、工業専用地域 (exclusive industrial districts) があります。

このように基準値はありますが、生活騒音は特別な条例が制定されない限り、法律で規制されません。これについては別頁で説明します。