スポンサーリンク

SNRとNRRとの違い

このページでは、SNRとNRRの違いを簡単に説明します。耳せんやイヤーマフを購入する際に役に立つかもしれません。大きな違いはSNRが欧州連合を中心とした規格で、NRRは北アメリカを中心とした規格となっています。

SNRとNRRの評価方法の違い

SNRの評価は、健常な耳を持つ16人の被験者がNRRと同様に何も付けない状態と評価対象となる防音保護具を装着した状態とで、各周波数の音を用いてテストを行います。NRRとは被験者数と試験回数が異なりますが、テスト方法はほぼ同じです。ただし、測定する周波数がSNRとNRRとで異なります。SNRとNRRで測定する周波数は以下のようになります。製品によっては63Hzが表示されていない場合がありますが、3150Hzと6300Hzの値もなければおそらくSNRのデータとなります。

NRRについては防音性能を示すNRRの評価方法で説明しています。

周波数(Hz)63125250500100020003150400063008000
SNR(dB)  
NRR(dB) 

防音保護具を未装着の状態と装着した状態との差から減衰量を求め、その結果から標準偏差値と平均減衰量(遮音値)を求めます。調べた範囲では各被験者の評価回数は各周波数一回ずつようです。これらの標準偏差と平均減衰量がパッケージやカタログに表示されます。

測定方法はほとんど同じですが、その測定結果を用いた計算方法に違いがあります。簡単に説明すると、SNRは1標準偏差、NRRは2標準偏差を評価値より引くため、同レベルの製品であればSNRの値が高くなります。そのためSNRの値とNRRの値を比較しても意味がありません。

例えば、同じ製品でもSNRであったりNRRで表示されていることがあります。PELTORの古い製品では、同じ製品でも地域(SNR圏とNRR圏など)ごとに型番とデザインを変更していたようですが、新しい製品になると型番は統一され、欧州連合(EU)で扱う場合はSNR、北米で扱う場合はNRRで表記されるようになっています。日本では同じ製品でもNRRとSNRが混在していることがあります。どちらも同じ製品ですので、SNRとNRRは異なっても性能は同じです。

また、SNRの製品にはHMLの値も併せて掲載されています。これは、Hが高周波数帯で使用した場合の減衰量、Lが低周波域での減衰量、Mはその中間となります。およその目安は以下のとおりです。HML値を用いてより正確に減衰量を調べるためにはHMLテーブルというものを参照する必要があります。

  • H(High) 2,000Hz - 8,000Hz
  • M(Middle) 1,000Hz - 2,000Hz
  • L(Low) 63Hz - 1,000Hz

他にもオーストラリアとニュージーランドではSLC80という規格があります。

スポンサーリンク

SNRとNRRの具体的な数値の違い

一つの商品でSNRとNRRを併記している製品はあまりありませんが、北米用と欧州用のカタログで両方のデータを確認することができます。例えば、PELTORのイヤーマフXシリーズは、SNRとNRRの両方のデータが存在します。測定方法が異なるので異なる減衰量となるはずですが、具体的にどの程度の差があるのかを確認してみましょう。

XシリーズでSNRとNRRの各周波数ごとの平均減衰量(遮音値)の差が大きいものと小さいものを比較してみます。最も差の大きな製品はX1Aの3.1dB(平均値)です。最も差の小さい製品はX2Aの0.9db(平均値)です。グラフにしていますが、SNRとNRRで測定周波数が重複しない63Hz、3,150Hz、6,300Hzは省いています。

被験者数と試験回数の差はありますが、評価自体は人間の耳ですので、同じ傾向もしくはほぼ近似的な結果となるようです。試験方法が似ているとはいえ、違う被験者(同じかもしれませんが)が測定したデータ、特にX2Aではほぼ同じデータになることには驚きます。あまり意味はありませんがどちらも相関係数は≒1(0.997)です。

 X1AX2AX3AX4AX5A平均
SNR dB2731333337
NRR dB2224282731
SNR – NRR575665.8

SNRとNRRの比較

ではSNRとNRRの値にどの程度の差があるかを比較します。下の表を見るとすぐに分かりますが、平均して6dB前後の差があることが分かります。ですので、SNR表記の製品があり、NRRの製品と比較したい場合は、周波数ごとの減衰量を確認することが一番ですが、SNRの値から5〜6dBを引けばNRRと近い値になります。このデータはイヤーマフのデータですが、耳せんも同じ測定方法なので参考になります。